2015/05/23

Les Ambassadeurs / Rebirth

2015年4月18日に『ドラゴンボールZ 復活の「F」』が公開になりましたね。
今回は青い髪のスーパーサイヤ人や、全身金色のゴールデンフリーザが登場するなど、めちゃくちゃ面白そうですごく観たいのですが、実はまだ観てません。
フリーザの復活も熱いですが、アフリカ音楽ファンはこちらの復活の方が気になるのではないでしょうか(フリーザの復活も気になってますけど…)?

Les Ambassadeurs / Rebirth
マリのスーパー・グループがサリフ・ケイタをヴォーカルに迎え復活!

事件ですよ事件。
1969年にギニア出身のギタリスト、カンテ・マンフィーラ(Kante Manfila)を中心に結成されたレ・アンバサドゥール・モテル・ド・バマコ(Les Ambassadeurs Du Motel De Bamako)。
1973年にはレイル・バンド(Rail Band)からサリフ・ケイタがヴォーカルとして移籍。
1975年の初シングル『Ambassadeur / Mana Mana 』 からマリで高水準の演奏を聴かせ、バンドとサリフ・ケイタともに急成長。
1978年にはバンド名をレ・アンバサドゥール・アンテルナシオナル(Les Ambassadeur International)に改名し、アルバム『Mandjou』がヒット。
1984年にサリフ・ケイタがフランスへ活動の場を変えるとともに、レ・アンバサドゥール・アンテルナシオナルから脱退。
同年にバンドは活動停止を余儀なくされます。

それから30年、バンド名をレ・アンバサドゥールとし、ヴォーカルにサリフ・ケイタを迎え、4曲収録のミニ・アルバム『Rebirth』で復活します。
近年のバンド再結成ブームに若干の難色を示す僕ですが、30年というスパンはとりわけ長く、先日に復活の情報を聞いたときはさすがに飲んでた味噌汁を鼻から吹き出しましたね(嘘ですよ)。
ちなみに僕は1991年生まれなので、30年前のことなんか知ったこっちゃありませんし、豆腐とワカメの味噌汁が好きです。

今作はレーベルWorld Villageから5月18日発売となり、日本国内ではライス・レコードさんから邦題『復活!』で、CDと10インチの2ヴァージョンで配給されます。
6月14日の発売、楽しみです。

楽しみなのですが、実は発売まで待ちきれなくなってしまった僕はアルバムを一通り聴かせていただきました。
何週も聴かせていただいた感想を、これから聴くのを楽しみにされているアフリカ音楽ファンに向けて、もっと楽しみになるよう超簡単にお伝えします。

実は今作、復活作ではありますが、新曲の収録はございません。
レ・アンバサドゥール・モテル・ド・バマコ及びアンテルナシオナルの曲を録り直した再録音アルバムとなります。
しかし、選曲のバランスは素晴らしく、カンテ・マンフィーラの亡き今(2011年7月20日死去)『4V』を再録音するあたりに愛を感じます。
Les Ambassadeur International / Mandjou

サリフ・ケイタのヴォーカルは相変わらずの神風っぷりですが、ウスマン・クヤテ(Ousmane Kouyaté)のギターも衰え知らずで健在です。
フランスのスタジオで、レオン・ブリチャード(Leon Brichard)とニック・ゴールド(Nick Gold)という二人の敏腕プロデューサーのサポートを受け、ファンキーでダイナミックな作品ができあがりました。
それにしても、再録音で改めて聴くと、ご老体のメンバー達とは思えない若々しさです。

ちなみに、今作には未収録ですが、昨年の7月にこんな素晴らしい映像がYouTubeで公開されてます。
新曲でしょうか、フィジカル化を希望します。

みなさん、6月の発売がさらに待ち遠しくなったのではないでしょうか?
昨年にはレ・アンバサドゥールの初期音源復刻盤が2CDで発売されています。
まだ聴いてないという方はこちらも合わせてチェックです!
Les Ambassadeurs Du Motel De Bamako

ご紹介はこれくらいにしときますが、今年の話題作になること間違い無しの一枚!
毎度のことですが、もちろんオススメです!

2015/05/14

Fabregas / Anapipo

みなさん、お久しブリーフです!

「お久しブリーフ」って岡本夏生よりダンディ坂野のイメージが強いですよね。

前回の記事が2月なので約3ヶ月ぶりです。
長いことサボっていて失礼ぶっこきマンボって感じですが、その間にブログで紹介するネタが無かった、というわけでもなく、ただただ放置してただけです。

この3ヶ月間、心躍るタイトルが沢山リリースされました。
下記は僕がこの3ヶ月間によく聴いたニューリリースのタイトル。
ほんの一部ですが、こんなに魅力的なタイトルが多いと毎日退屈しなくて本当に嬉しいものです。

・Ata Kak / Obaa Sima
・Dupain / Sòrga
・E.T. Mensah & The Tempos / King Of Highlife Anthology 
・Faada Freddy / Gospel Journey
・HK & Les Saltimbanks / Rallumeurs D'Etoiles
・Oliver Mtukudzi / Mukombe We Mvura
・Thomas Mapfumo & The Blacks Unlimited / Danger Zone
・V.A. / Highlife On The Move

Fabregas / Anapipo
キンシャサ、コンゴレーズの新人です。

よくいる感じの新人でしょ、と思うなかれ。
ファブレガはコンゴでNo.1シンガーとも言われたウェラソン(Werrason)率いるウェンゲ・ムジカ・メゾン・メール(Wenge Musica Maison Mère)に2007年から2011年まで在籍。
2012年にアルバム『Amour Amour』を引っ提げてソロデビュー。
シンガーでありダンサー、さらには都市型の現地若者たちを統べるリーダーでもあります。
本名はFabregas Mbuyuluで、Fabregas Le Métis Noirが通り名。

見た目こそ派手でグラサンを掛けたコモンみたいですが、さすがはウェンゲ・ムジカの元メンバー、洗練されたコンゴレーズの音作りと溢れる若々しさのマッチングが実に巧妙です。

収録曲『Mascara』はヒットしたらしいですね。
瑞々しく伸びやかな歌声と、ダンサンブルで軽快なリズムがンドンボロ?ですが、そこに忘れず顔を見せるルンバ・ギターがポイントで、ゴージャスなサウンド・プロダクションとコンゴレーズ本来の華やかさを同時に楽しめます。

そんな中、タイトル曲である『Lifobo (Anapipo)』に注目。
アップアップに腰振りダンスが駆け抜ける中、作中唯一のスロー・ナンバーで、絶品コーラスとアコースティック楽器、ルンバ・ギターの響きに癒されます。
「アナピポ〜」と歌う様、渋くて最高です。

2012年デビュー・アルバム『Amour Amour』収録曲のビデオクリップをYouTubeでいくつか発見。



『Amour Amour』のジャケはひどいものですが、なかなか良い内容だと思われます(CDでほしいなぁ…)。
 

僕がアルバムを2014年 年間ベストアルバムの1位に選出したベブソン・ドゥ・ラ・リュは、ストリート、ゲットーを意識した田舎的な兄貴でした。
一方のファブレガは都会的で、ダンスホールやンドンボロもよろしくなブラザーといった感じ。
しかし、どちらもルンバ・マナーはしっかりと守っていて、似ているようで対比されている点が非常に面白いです。
この二人を筆頭に、現代のコンゴレーズ・シーンがより華やかになっていくのが分かりますね。 
試しに2枚のアルバムジャケットを並べてみましょう(多分かっこいいから)。
 
イケてます!

コンゴレーズ、ルンバ、ウェンゲ・ムジカのファンはもちろん、毎度アフリカ音楽ファンのみなさん、オススメです!

2015/02/17

V.A. / Bankolo Miziki: Anthologie Volume 1&2

 
V.A. / Bankolo Miziki: Anthologie Volume 1&2
素晴らしきかなNgoyartoレーベル!
最近人知れず復活し、今後の動向から目が離せなくなっている老舗コンゴ音楽CD復刻レーベルNgoyartoですが、1998年にこんな素晴らしいコンピレーション・アルバムを復刻していました。

少し長いですが、こんなサブ・タイトルが付いています。
『Les Pionniers de la musique congolaise-de Leopoldville à Kinshasa.』
レオポルドヴィルとは、コンゴがベルギー領だったときの現キンシャサですが、内容はタイトルとサブ・タイトル通り、キンシャサのコンゴレーズ、パイオニア達の記録、なわけです。

パイオニア達ということで、もちろん豪華面子。
Vol. 1ジャケットの写真上から、Antoine Wendo Kolosoy、Lucie Eyenga、Camille Feruzi、Manuel D'Oliveira、Adou Elenga、Leon Bukasa、アフリカ音楽ファンならば必ずやご存知であろうミュージシャンの方々です。

30年代に生まれたコンゴのポピュラー音楽は、40〜50年代に花開きますが、その音楽時代を築き上げたウェンドやカミーユ・フェルジなど、この上無い布陣は、1996年にPopular African Musicからリリースされた『Ngoma, The Early Years, 1948-1960』を彷彿とさせます。
V.A. / Ngoma, The Early Years, 1948-1960

Ngoyartoは復刻レーベル、『Bankolo Miziki: Anthologie Volume 1&2』は1973年にリリースされた『Anthologie De La Musique Zairoise Moderne Tome 1&2』が元ネタです。
 
V.A. / Anthologie De La Musique Zairoise Moderne Tome 1&2
ライナーが充実してますね〜!

コンゴレーズ第一世代が40〜50年代に残した名曲クラシックを存分に収録した充実コンピレーション。
曲順は違えど、内容からジャケットの一部までほぼ同じですので、正真正銘の復刻と言えますね。

それにしてもこの時代のコンゴレーズは実に素晴らしい。
大ヴェテラン、カミーユ・フェルジのアコーディオンは聴き応え抜群、スークースの女王ルーシー・イェンガの歌声は伸びやかで若々しく、ウェンドのラテン、パームワイン香る弾き語りにはもうトロけてしまいそうです。
  

こういった第一世代の録音をCDで聴けるのは実は数少ないことです。
Ngoyartoの気が利く復刻に喜びと驚きが隠せません。

Vol. 1と2、合わせて44曲のウルトラ・ボリューム!
毎度のことながらオススメしましょう。

2015/02/09

Pépé Kallé / Trahison Hadas

Pépé Kallé / Trahison Hadas
これが運命の出会いと言うのでしょうか。

コンゴの伝説的スークース・バンド、Empire Bakubaを率いた大男(190cm、130kg 日馬富士かよ!)ペペ・カレの復刻CD!
とは言っても、ペペ・カレ=アンピル・バクバということなので、実質アンピル・バクバの良い所取り編集盤でしょう。
それにしてもひどいジャケ…。

復刻したレーベルはNgoyarto、老舗ですね。
詳しいことは知りませんが、聞いた話だと最近復活したとか。
詳しいことを知らないだけに、皆様には実際サイトのカタログを見ていただくことである程度の雰囲気を掴んでいただくことにして(手抜きすいません!上のロゴをクリック!)、この『Trahison Hadas』最高にかっこいいです!

アンピル・バクバのルンバ・コンゴレーズに沿った変則ロック的展開や、荒々しさの中に見出せる洗練されたギターが素晴らしくクールです。
そしてこの宙ぶらりんなトリップ感覚は、まるでぬるま湯に浸かっているかのようなツイン・ギターと、ゆるいグルーヴが見事に重なった賜物でしょう。

毎度お世話になってるエル・スール・レコーズのマスターは「ギターにオールマンの影響が…」と公言。
確かに聴き込むほど滲み出る味わい深いサザン・ロック風味、言われてみればオールマン・ブラザーズ・バンドの『Blue Sky』に似ている曲もある(わけ無い)…。
とはいえ、ペペ・カレはTPOK Jazzを率いるフランコが一番欲しがった男との噂もありますし、脂の乗り切った70年代後半、80年代以降は様々な影響を受けていてもおかしくは無いかと思います。

内容は、アンピル・バクバが70年代にSacodisレーベルから出したアルバム『Lassissi Presente Empire Bakuba(規格LS-47)』から2曲、1983年作『a Paris(規格K-4222)』から1曲、『Dadou』のオリジナル・ヴァージョンが1曲、詳細不明が1曲(ツメが甘い…)、ボーナストラックが2曲の全7曲となっています。
Empire Bakuba / Lassissi Presente Empire Bakuba

Dilu Dilumona et L'Empire Bakuba / a Paris

アルバムのタイトル曲『Trahison Hadas』がSacodisレーベルの曲ですので、冒頭に編集盤とは言いましたが、ほぼ『Lassissi Presente Empire Bakuba』の復刻と言ってよろしいでしょう。
とても充実しています。

今でこそキッチリと固められた主流のルンバ・コンゴレーズ、ルンバ・ロックなどがありますが、それだけに収まらないペペ・カレとアンピル・バクバの別視点ルンバ、スークース。
アルバム一枚でそれの大部分を堪能できるのは素晴らしい他ありません。
運命という言葉も、このアルバムに対しては決して安っぽくならない!

アフリカ音楽ファンならば必聴の一枚ではないでしょうか!
お聴き逃しなく!