2015/02/17

V.A. / Bankolo Miziki: Anthologie Volume 1&2

 
V.A. / Bankolo Miziki: Anthologie Volume 1&2
素晴らしきかなNgoyartoレーベル!
最近人知れず復活し、今後の動向から目が離せなくなっている老舗コンゴ音楽CD復刻レーベルNgoyartoですが、1998年にこんな素晴らしいコンピレーション・アルバムを復刻していました。

少し長いですが、こんなサブ・タイトルが付いています。
『Les Pionniers de la musique congolaise-de Leopoldville à Kinshasa.』
レオポルドヴィルとは、コンゴがベルギー領だったときの現キンシャサですが、内容はタイトルとサブ・タイトル通り、キンシャサのコンゴレーズ、パイオニア達の記録、なわけです。

パイオニア達ということで、もちろん豪華面子。
Vol. 1ジャケットの写真上から、Antoine Wendo Kolosoy、Lucie Eyenga、Camille Feruzi、Manuel D'Oliveira、Adou Elenga、Leon Bukasa、アフリカ音楽ファンならば必ずやご存知であろうミュージシャンの方々です。

30年代に生まれたコンゴのポピュラー音楽は、40〜50年代に花開きますが、その音楽時代を築き上げたウェンドやカミーユ・フェルジなど、この上無い布陣は、1996年にPopular African Musicからリリースされた『Ngoma, The Early Years, 1948-1960』を彷彿とさせます。
V.A. / Ngoma, The Early Years, 1948-1960

Ngoyartoは復刻レーベル、『Bankolo Miziki: Anthologie Volume 1&2』は1973年にリリースされた『Anthologie De La Musique Zairoise Moderne Tome 1&2』が元ネタです。
 
V.A. / Anthologie De La Musique Zairoise Moderne Tome 1&2
ライナーが充実してますね〜!

コンゴレーズ第一世代が40〜50年代に残した名曲クラシックを存分に収録した充実コンピレーション。
曲順は違えど、内容からジャケットの一部までほぼ同じですので、正真正銘の復刻と言えますね。

それにしてもこの時代のコンゴレーズは実に素晴らしい。
大ヴェテラン、カミーユ・フェルジのアコーディオンは聴き応え抜群、スークースの女王ルーシー・イェンガの歌声は伸びやかで若々しく、ウェンドのラテン、パームワイン香る弾き語りにはもうトロけてしまいそうです。
  

こういった第一世代の録音をCDで聴けるのは実は数少ないことです。
Ngoyartoの気が利く復刻に喜びと驚きが隠せません。

Vol. 1と2、合わせて44曲のウルトラ・ボリューム!
毎度のことながらオススメしましょう。

2015/02/09

Pépé Kallé / Trahison Hadas

Pépé Kallé / Trahison Hadas
これが運命の出会いと言うのでしょうか。

コンゴの伝説的スークース・バンド、Empire Bakubaを率いた大男(190cm、130kg 日馬富士かよ!)ペペ・カレの復刻CD!
とは言っても、ペペ・カレ=アンピル・バクバということなので、実質アンピル・バクバの良い所取り編集盤でしょう。
それにしてもひどいジャケ…。

復刻したレーベルはNgoyarto、老舗ですね。
詳しいことは知りませんが、聞いた話だと最近復活したとか。
詳しいことを知らないだけに、皆様には実際サイトのカタログを見ていただくことである程度の雰囲気を掴んでいただくことにして(手抜きすいません!上のロゴをクリック!)、この『Trahison Hadas』最高にかっこいいです!

アンピル・バクバのルンバ・コンゴレーズに沿った変則ロック的展開や、荒々しさの中に見出せる洗練されたギターが素晴らしくクールです。
そしてこの宙ぶらりんなトリップ感覚は、まるでぬるま湯に浸かっているかのようなツイン・ギターと、ゆるいグルーヴが見事に重なった賜物でしょう。

毎度お世話になってるエル・スール・レコーズのマスターは「ギターにオールマンの影響が…」と公言。
確かに聴き込むほど滲み出る味わい深いサザン・ロック風味、言われてみればオールマン・ブラザーズ・バンドの『Blue Sky』に似ている曲もある(わけ無い)…。
とはいえ、ペペ・カレはTPOK Jazzを率いるフランコが一番欲しがった男との噂もありますし、脂の乗り切った70年代後半、80年代以降は様々な影響を受けていてもおかしくは無いかと思います。

内容は、アンピル・バクバが70年代にSacodisレーベルから出したアルバム『Lassissi Presente Empire Bakuba(規格LS-47)』から2曲、1983年作『a Paris(規格K-4222)』から1曲、『Dadou』のオリジナル・ヴァージョンが1曲、詳細不明が1曲(ツメが甘い…)、ボーナストラックが2曲の全7曲となっています。
Empire Bakuba / Lassissi Presente Empire Bakuba

Dilu Dilumona et L'Empire Bakuba / a Paris

アルバムのタイトル曲『Trahison Hadas』がSacodisレーベルの曲ですので、冒頭に編集盤とは言いましたが、ほぼ『Lassissi Presente Empire Bakuba』の復刻と言ってよろしいでしょう。
とても充実しています。

今でこそキッチリと固められた主流のルンバ・コンゴレーズ、ルンバ・ロックなどがありますが、それだけに収まらないペペ・カレとアンピル・バクバの別視点ルンバ、スークース。
アルバム一枚でそれの大部分を堪能できるのは素晴らしい他ありません。
運命という言葉も、このアルバムに対しては決して安っぽくならない!

アフリカ音楽ファンならば必聴の一枚ではないでしょうか!
お聴き逃しなく!