2014/12/18

2014年 年間ベストアルバム 6位〜10位

今回は6位~10位を紹介。

選考期間は、2013年の12月から2014年の今日までにリリースされたアルバムから。
でも、期間はある程度曖昧でもいいと思うし、輸入盤に関してもそこまで縛る必要も無いから、大体の期間ということで。

6. Valérie Louri / Edith Lefel Tribute
みんなゴリラーマンって知ってる?
このヴァレリー・ルーリ、女性に対して大変失礼だが、ゴリラーマンにそっくりなのだ。
ルックスの話は置いといて、今作、エディット・ルフェールのトリビュート作品である。
後半はオリジナルが数曲あるのだが、確かに彼女の歌い口、エディット・ルフェールのそれに近い。
爽やかなアコースティック、バッグを彩るストリングスの美しさと、それらに負けない力強い歌声がアルバムいっぱいに詰め込まれている。
パーカッションが他のズークよりもかなり自由に動いていて実に上手い。
新世代のズーク、フレンチカリブとして、これからの躍進にも期待できる。
ゴリラーマンの話に戻るのだが、どうやら彼女、欧州版ライオンキングに出演して一躍有名になったとか。
野性的ということか?きっとダンスも上手いのだろう。

7. V.A. / African Gems
良い仕事をしたものだ。
ヒュー・トレイシーと聞けばある程度の人がフィールド・レコーディングの何ちゃらと答えるのだが、その意思を継いだのがイギリス人のマイケル・ベアードで、今作は彼が1960〜70年代にアフリカ各地で敢行したフィールド・レコーディングの再編復刻盤。
ステレオ録音ということで、よりリアリティになったのかは知らないが、これがなかなかの問題作である。
録音した地区によってバラバラな音を聴かせてくれるのだが、一環して言えるとすれば、どれも全てスペイシーだ。
宇宙と交信しているのか?それとも宇宙になりたいのか?
サン・ラ的と言われればそうなのだが、儀式や葬儀の音楽なのに宇宙を連想させるところとか、サン・ラや神とかとはまた違う繋がりが、彼らの音楽と結びついているのではないだろうかと思ってしまう。
人形の木彫りホーン、指穴の無いホルンの呪術的な音色。
マリンバ、ザイロフォン等によるポリリズム。
アンビエントとして聴くだけでは勿体無かろうか?

8. King Ayisoba / Wicked Leaders
このアルバムに関しては僕が語るより、国内配給をしているエル・スール・レコーズのページを見てもらったほうが一億倍分かるのだが、何でもかんでもリンクを貼ってよろしくするのもどうかと思うので、一応書かせてもらう。
ヒップ・ライフ(ヒップ・ホップ+ハイライフ)と言われる音楽なのだが、どうやらその音楽性とはまた違うアプローチをしてきたのが今作のようで、そのほとんどが弾き語りに近いアイソバの個人芸なのだ。しかも吠えてる。
彼が弾いているのはコロゴという2弦の楽器で、彼はこれを繊細巧みに弾き、それを支える管楽器と打楽器たちが土着的で土臭い、かつブルージーなグルーヴを生み出している。
なるほど、「ネオ・トラディショナル」「未来の民俗音楽」その二つの言葉は決して間違いではなく、むしろ僕はその言葉に賛同する。
それにしてもアイソバのダミ声、パンキッシュでメッセージ性に溢れている。
ハッサン・ハクムーンの、猛獣のように絶対的な声とは違うが、ストレートで感情をあらわにしている感じがとても良い。

9. UBK / Ouzo Bazooka
このアルバムをベストに入れるべきか迷ったが、個人的にここ数年で一番ツボなミュージシャンなのだ。
ブーン・パンのギタリスト、ウリ・ブラウネル・キンロトのソロ・プロジェクトで、巷では中東のブラック・キーズ、ホワイト・ストライプスと言われている。
まあ、その通りなのだ。
ディストーション・ギターを荒々しく弾き倒し、ブルース、ガレージ・ロックを中東のエッセンスで体現したあたり、かっこいいね。
今年の夏にブーン・パンはフジロックに出演したのだが、合わせて来日ツアーも行っており、その一つを観に行った。
ウリの魅力と言えば、そのルックスから滲み出るキリスト感(?)!
髪と髭はまるでキリストのように伸ばされ放置され、細身の身体には汗臭そうなタンクトップ一枚、頭を振り乱しながらジャズマスターを弾き散らかす様に僕はやられた。
ちなみに彼はテンションが上がるとテーブルの上に乗ってギターを弾くクセがあり、どうやらお行儀が悪いようだ。
そんなウリと少し話をしたのだが、どうやら来年か再来年にでもまた来日したいそう。
握手した手は大きく柔らかかった。良い思い出だ。

10. Christine & The Queens / Chaleur Humaine
実はこのアルバム、まだ手元に届いていない。
いや、現在カナダから発送中なので年が明ける前には届く予定なのだ。
ストロマエの前座をつとめ、またストロマエとは違う角度、違うアプローチでフランスのエレ・ポップを次のレベルへと押し上げる存在。になりえるかもしれない。
女性ではあるが、どうやら心は中性的なようで、美しくもどこか悲しいサウンドに乗せられた彼女の詩は青春、愛の渇望、人の温かさ。
また、クリスティーヌという名前は、芸名といよりはデヴィッド・ボウイのジギー・スターダストに近いもので、自らが作り出したもう一人の自分だとか。
歌い口は優しいが、悲しみと悩みに満ちあふれており、ドリーム・ポップにも接近しそうなエレ・ポップ・サウンドが、その謎めいた雰囲気を一層引き立たせている。
ヒップ・ホップ寄りなストロマエとは一線をひいた、陰のあるポップス・サウンドが心に直接響くのだ。

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